投稿日:2025年12月22日
SAP BTP活用で進化する企業のデジタル戦略
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【コラム監修者 プロフィール】
クラウドコンサルティング代表取締役 岸仲篤史
新卒でSAPジャパン株式会社に入社。
SAPジャパン在籍中にCOコンサルとして従事したことで、会計コンサルの面白さに目覚め、
大和証券SMBC株式会社 投資銀行部門、新日本有限責任監査法人、アビームコンサルティングにて、
一貫して約10年間、会計金融畑のプロフェッショナルファームにてキャリアを積む。
その後、2017年クラウドコンサルティング株式会社を設立し、SAPフリーランス向けSAP free lanceJobsを運営し、コラムの監修を手掛ける。
https://www.facebook.com/atsushi.kishinaka#
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はじめに
デジタル変革が急速に進む現代において、企業は柔軟かつ効果的なIT戦略を重要視しています。
そこで本記事では、SAP Business Technology Platform(BTP)という先進のプラットフォームを活用して、企業のデジタル戦略を進化させる方法について解説します。
この記事では、SAP BTPの概要や特徴、機能拡張とアプリ開発の方法、データ分析とAI活用の事例、そして管理とサポートに関する重要なポイントまで、詳細に説明していきます。
筆者が提供する情報を参考に、読者の皆様がSAP BTPを活用してデジタル戦略を強化し、競争力のあるビジネスを展開することができる理由が明らかになるでしょう。
SAP Business Technology Platformの概要
SAP Business Technology Platform(以下、BTP)は、企業のデジタルトランスフォーメーションを促進するために開発された、統合型のクラウドベースプラットフォームです。BTPは、以下の4つの主要な機能を提供しています。
・アプリケーション開発と統合
・データ管理
・アナリティクス
・インテリジェントテクノロジー(AIやIoTなど)
これらの機能は、SAPの多様なソリューションやサービスと連携し、企業が柔軟性とスピードを持ってビジネスプロセスを変革することができます。
また、BTPはオープンで拡張性のあるプラットフォームであり、ABAPやJavaなどの様々なプログラミング言語をサポートしており、企業は自分たちに最適な方法でシステムを構築することができます。
さらに、データの安全性とプライバシーを確保するためのセキュリティ対策や、クラウドサービスの管理と運用をサポートする機能も備えています。
筆者が考えるBTPの最大の魅力は、ERPやCRMなどのSAPソリューションとシームレスに連携できる点です。
これにより、従来のシステムを維持しつつ新しいアプリケーションやサービスを迅速に導入し、業務効率化や新たな価値創出を図ることができます。
そして、BTPを活用すれば、ソフトウェア開発やデータ分析の知識がなくても、ビジネスに必要なソリューションを容易に導入することができるのです。
BTPの特徴とメリット
BTPには以下のような特徴とメリットがあります。
・柔軟な拡張性: 企業は自分たちに合った方法でシステムを拡張し、ビジネスを変革することができます。
・オープンなプラットフォーム: 様々なプログラミング言語やツールがサポートされており、開発者は自分たちに最適な環境でアプリケーションを開発できます。
・シームレスな連携: ERPやCRMなどのSAPソリューションとシームレスに連携できるため、従来のシステムを維持しつつ新しいアプリケーションやサービスを迅速に導入できます。
・セキュリティとプライバシー: データの安全性とプライバシーを確保するためのセキュリティ対策が備えられています。
・管理と運用の効率化: クラウドサービスの管理と運用を効率的に行うことができる機能が搭載されています。
これらの特徴とメリットを活用すれば、企業はビジネスを高速化し、デジタルトランスフォーメーションを推進することができます。
クラウド、オンプレミス、ハイブリッドの選択肢
SAP BTPは、企業が自分たちに適した環境を選択することができるように、クラウド、オンプレミス、ハイブリッドの3つの選択肢を提供しています。
- クラウド: SAP BTPのクラウド版は、インフラストラクチャや運用管理をSAPが行い、企業はアプリケーション開発に集中することができます。また、アップデートが自動的に適用されるため、常に最新の機能を利用することができます。
- オンプレミス: 企業が自社でインフラストラクチャを管理し、データセキュリティやプライバシーを確保できる環境です。運用には独自のリソースが必要ですが、企業のポリシーや規制に合わせたカスタマイズが可能です。
- ハイブリッド: クラウドとオンプレミスの組み合わせで、各システムのメリットを最大限活用できる環境です。例えば、機密性の高いデータはオンプレミスで管理し、新しいアプリケーション開発や分析はクラウドで実行することができます。
これら3つの選択肢によって、企業は自分たちのビジネスニーズやリソースに応じて最適な環境を選ぶことができます。
また、変化するビジネス環境に柔軟に対応し、デジタルトランスフォーメーションを加速させることができるのです。
企業におけるデジタル変革戦略との連携
近年、企業におけるデジタル変革戦略が注目を集めています。
本節では、その理由と具体例、まとめについて解説します。
デジタル変革戦略の重要性は、経済環境の変化や競争力向上のために、従来の業務プロセスや働き方を見直し、デジタル技術を取り入れることで、新しい価値創造や効率化を目指すことです。
具体例としては、以下のような取り組みがあります。
・IoTやAIを活用したデータ分析と活用
・クラウドサービスの導入
・DX推進組織の設立や人材育成
・オンライン販売チャネルの拡充など
デジタル変革戦略と連携することで、企業は効率的な業務運営、顧客満足度の向上、新たなビジネスチャンスの創出等につなげることが期待されています。
戦略を立案する際には、以下のポイントに着目しましょう。
・現状のビジネスプロセスやシステムの課題点を明確にする
・デジタル技術の活用法を検討し、実現可能性を評価する
・社内外のデジタル変革に関する知識やノウハウを集約する
・実行計画を策定し、進捗管理を行う
まとめとして、デジタル変革戦略と連携することで、企業は柔軟に変化する市場環境に対応し、競争力を高めることができます。
SAP BTPを活用した機能拡張とアプリ開発
本項では、SAPのBusiness Technology Platform(BTP)を活用した機能拡張とアプリ開発について解説します。
SAP BTPは、企業向けのソフトウェア開発プラットフォームで、ERPシステムを中心とした業務アプリケーションの統合や拡張機能を提供しています。
SAP BTPを活用することで、企業は以下のようなメリットを享受できます。
・既存のSAPシステムとの連携が容易
・クラウドベースのサービスで常に最新の機能を利用可能
・カスタマイズや拡張が簡単に実行可能
具体的なアプリ開発の方法としては、以下のような手順が挙げられます。
1.要件定義と設計
2.ABAPやOData等の言語で開発
3.データ統合やAPI連携を実装
4.テストと保守
SAP BTPを活用することで、企業は効率的にシステム機能の拡張や新しいアプリケーションの開発が可能となり、デジタル変革を進めることができます。
Side-by-side拡張の開発方法
SAPシステムにおいて、side-by-side拡張とは、既存システムのコア機能に影響を与えずに、新しい機能やアプリケーションを追加する開発方法です。
本節では、その具体的な方法を説明します。
Side-by-side拡張は、以下の手法を用いて実現されます。
・クラウドサービスやAPIを活用
・マイクロサービスアーキテクチャでの開発
・オンプレミスとクラウドのハイブリッド環境の構築
開発プロセスは、以下のように進められます。
1.既存システムとの連携範囲を明確にする
2.追加する機能やアプリケーションの要件を定義
3.開発言語やフレームワークを選定
4.データ連携やAPIの実装
5.テストとデプロイメント
Side-by-side拡張を利用することで、システムの安定性を損なうことなく、効率的に機能追加やアプリ開発が実現できます。
ABAP開発の現行状況とBTPへの移行
ABAP開発の現行状況は、オンプレミスのSAPシステムを構築し、ERP機能を提供しております。
しかし、クラウド化が進む昨今、ABAP開発も新たな展開を迎えています。
その最たるものが、SAP Business Technology Platform(BTP)への移行です。
BTPは、SAPのクラウドプラットフォームであり、ABAP開発の拡張性や統合性が一層向上します。
移行の理由は、ITインフラを最新の状態に保つことに加え、機能追加やアプリケーション開発が容易になるからです。
具体的には、ABAPを活用したシステム管理やアプリケーション開発がスムーズにできるようになります。
また、SAPの各種サービスと連携が容易になり、企業のデジタル戦略を後押しすることが可能です。
さらに、BTPではデータ分析やAIを取り入れた最先端の開発が可能であり、業界において競争力を維持・向上させることができます。
しかし、移行は専門知識が必要であり、適切な準備と計画が欠かせません。
筆者は、今後もABAP開発の現行状況とBTPへの移行に関する情報を提供し続けます。
OData APIを利用したアプリケーション構築
OData APIは、データアクセスが容易なRESTfulなWeb APIで、アプリケーション構築に広く使用されています。
特にSAP BTPでは、OData APIを利用したアプリケーション構築が推奨されています。
筆者が提供する理由は、OData APIを利用するメリットが多々あるからです。
まず、データアクセスやデータ管理が容易にできること、さらにシンプルなURLでデータを取得し操作することが可能なことです。
また、OData APIは標準化されており、異なるデータソースでも共通の方法でアクセスできます。
具体例として、ERPシステムや他のアプリケーションと連携が容易になります。
加えて、ウェブブラウザやモバイルデバイスなど多様な環境での利用が可能です。
最後に、筆者はOData APIを利用したアプリケーション構築において、開発者やユーザーに優れた利便性を提供することができます。
SAP BTPで実現するデータ分析とAI活用
SAP BTPでは、データ分析とAI活用を実現することでビジネスの効率化が図れます。
ますます複雑なビジネスデータが増える中、データ分析やAIの活用は企業の競争力を維持・向上させる重要な要素となっています。
具体的には、AIを活用した自動化や推奨アルゴリズムの開発を行うことができます。
また、データ分析を行うことで、市場や顧客ニーズを的確に把握し、ビジネス戦略に活かすことができます。
SAP BTPを用いることで、データ分析やAI活用が手軽に行えるようになり、企業全体の効率化や競争力の向上が期待できます。
さらに、クラウドプラットフォームであるBTPにより、データやリソースの管理が一元化され、開発や運用がスムーズになります。
最後に、SAP BTPを活用したデータ分析とAI活用には、開発者やエンジニアリングスタッフの専門知識が重要でありますが、その取り組みは企業の持続的な成長を後押しします。
企業のデータ活用と分析戦略について
データ活用と分析戦略は企業の競争力を向上させる重要な要素です。
データを効果的に利用することで、より適切な意思決定や業務効率の向上が期待できます。
具体的には、データを収集し、それを分析することで、新たなビジネスチャンスを見つけたり、顧客満足度を向上させるアプローチを検討できます。
分析ツールの進化により、企業は自社のビジネスデータをより深く理解し、新たな市場や顧客ニーズに対応することが容易になりました。
データ活用においては次のようなポイントが重要です。
・収集するデータの質と量を適切に把握
・データ保護とプライバシーに配慮
・データ分析に適切なツールや技術を用いる
これらのポイントを押さえ、企業はデータ活用と分析戦略を構築していくことで、競争力を高めることができます。
AI機能を組み込んだビジネスプロセス
AI機能をビジネスプロセスに組み込むことで、自動化や効率化が実現され、従業員の生産性向上やコスト削減が期待できます。
AI技術は、さまざまな業務領域で活用されており、例えば次のような事例が挙げられます。
・顧客サポート:AIチャットボットが顧客からの問い合わせに対応し、迅速なサポートを提供
・セールス分析:AIが過去のデータを基に売上予測を行い、戦略立案をサポート
・人事管理:採用活動での履歴書の審査や面接の効率化
しかし、AIの導入にはデータの整備や適切なアルゴリズムの選定、セキュリティ対策が求められます。
これらの課題を解決しながら、企業はAI機能を組み込んだビジネスプロセスを構築していくことが重要です。
管理とサポートに関する重要なポイント
企業の管理とサポートにおいては、次のような重要なポイントが考慮されるべきです。
・リーダーシップ:組織のビジョンや方針を明確に示し、従業員へ伝える。
・コミュニケーション:社内の情報共有や意思疎通を円滑に行い、チームの連携を強化する。
・プロジェクト管理:プロジェクトの進捗状況やリソース配分を適切に管理する。
・人材育成:社員のスキル向上やキャリアの支援を行う。
・労働環境の改善:労働環境や福利厚生を充実させ、社員の満足度向上を図る。
・ITインフラの整備と適切な運用:業務効率化や情報共有をサポートするためのITインフラを整備する。
これらのポイントを踏まえ、企業は管理とサポート体制を整備し、組織全体の生産性向上や従業員満足度の向上に努めることが求められます。
セキュリティ対策とデータ保護
近年、ITシステムのセキュリティ対策とデータ保護が重要視されています。
その理由は、企業情報の漏えいやサイバー攻撃による損失が増加しているためです。
具体的な対策としては、まずサービスを提供する際に適切なコード開発と管理が必要です。
また、ABAPやOData、APIなどの機能を使用する際には、アクセス権限の管理やデータの暗号化も重要です。
さらに、ITインフラのセキュリティも考慮が必要で、オンプレミスやCloud環境に応じた対策が求められます。
これらの対策を行うことで、企業はデータの保護が実現され、ビジネスの成長を支えることができます。
サポートチケットやノウハウの活用
サポートチケットやノウハウの活用は、企業がSAP BTPでの開発や運用を円滑に進めるために重要です。
これらを活用することで、開発者やエンジニアリングチームは問題解決を迅速に行えます。
具体例として、サポートチケットでは、システムに発生した問題や変更を効率的に管理することができます。
これによって、エラーの原因を特定し、迅速に対処することが可能です。
また、ノウハウの活用は、開発者が効率的にコードを作成し、必要な機能を追加する際の手間を省くことができます。
例えば、SAPのコミュニティやブログで情報交換を行い、開発や管理のベストプラクティスを学ぶことが可能です。
SAP BTP活用を進めるためのまとめ
SAP BTPを活用する際、セキュリティ対策やデータ保護、サポートチケットやノウハウの活用が不可欠です。
これらを実践することで、企業はITシステムの安全性と効率性を向上させることができます。
具体的には、コード開発や管理の適切な対策が重要であり、データ保護のためにアクセス権限管理や暗号化も行いましょう。
また、SAPコミュニティやブログで情報交換を行い、効率的な運用を心がけましょう。
これらの施策を行うことで、企業は競争力のあるビジネスを展開できるでしょう。
最後に、SAPの活用は継続的な取り組みが必要ですので、今後も積極的に新しい知識や技術を取り入れていきましょう。