投稿日:2021年5月20日
【事業会社からSAPコンサルタントへの転職できる4つの経験とは?】
はじめに
SAPコンサルタントへの転職事例としては、やはりこれまでの経験を活かすことができるSAPエンジニアや、同業他社でITコンサルタントとして活躍している方であることがほとんどです。
SAPコンサルタントに求められるのは、各モジュールに対する専門性の高さであるために、他職種からSAPコンサルタントを目指すのは難しいのが現状です。
しかし、SAPに関する何らかの経験をしていなければ、SAPコンサルタントへの転職できないかというとそうではありません。
SAPを導入する以前に、クライアントの経営課題や業務課題を整理し、解決策を提案しなければいけない場面も多く、そこで特定分野や業務に対して、高い専門性を持っている人材も同時に必要とされています。
そのため、事業会社で活躍している方でも、経験やスキル次第では、SAPコンサルタントへ転職することも可能なのです。
そこで今回は、事業会社からSAPコンサルタントへの転職を成功させるために必要な経験について解説していきたいと思います。
前提:事業会社からSAPコンサルタントへの転職は難易度が高い
まず前提としてお伝えしなければならないのは、事業会社からSAPコンサルタントへの転職は可能であるものの、転職難易度が高いということです。
なぜならば、事業会社にいると営業職のような一部職種を除いては、基本的にクライアントと折衝することが少なく、自社内でプロジェクトが完結してしまうために、顧客折衝経験において懸念を持たれてしまうからです。
そうは言っても、事業会社で顧客折衝の経験を積もうと思っても、職種によっては難しいことが多いと思います。
そこで、どのような点を重視して顧客折衝を任せることができるのかを見ているかというと、「周囲を巻き込んで、主体的に業務課題を解決した経験があるか」ということです。
SAPコンサルタントは、SAPを導入する以前に、クライアントの潜在的な課題を顕在化させ、それに対する解決策を提案しなければなりません。
したがって、事業会社においても同様に、自社内の課題を主導して解決してきた経験を見られるのです。
そうなると、単にメンバーとしてその仕事を言われた通りにこなしてきただけでは評価されず、より戦略的な業務に携わっていた経験が求められます。
例えば経理職であっても、経理担当者として月次決算や年次決算を経験してきただけでは評価されず、事業戦略に直結する管理会計の高度な知見を有し、さらに経理の観点から事業戦略に対する提案まで行った経験があって、ようやく評価されるのです。
第二新卒クラスであれば、メンバーとしての経験でも採用される可能性がありますが、そうでない場合は、より高度な知見と戦略的業務経験が必要となるために、転職難易度が高くなってしまうのです。
ただし、悲観的に思うことはありません。
裏を返せば、これらの経験をしっかりと積むことができれば、SAPコンサルタントへ転職することも十分に可能なので、もし現段階でスキルが足りないと思ったのであれば、逆算的にキャリアを積むようにしましょう。
それでは、事業会社でのどのような経験が評価されるのかを職種ごとに見ていきます。
SAPコンサルタントを目指せる職種①:管理会計、財務会計の経験を持つ経理職
一般的な経理職からでは、財務会計モジュールを扱うFIコンサルタントや、管理会計モジュールを扱うCOコンサルタントへの転職は難しいのですが、管理会計および財務会計の経験を持つ経理職に限っては、経営戦略や事業戦略にも直結する会計のコアな部分の経験があることから、FI/COコンサルタントへの転職に成功する可能性も十分にあります。
特に管理会計は、大手企業になればなるほど高度な会計知識を必要とするために、大手企業にて管理会計の経験を持つ経理職は、よりFI/COコンサルタントの内定を得やすいと言えます。
したがって、経理職からSAPコンサルタントへの転職を考えているのであれば、できる限り規模が大きい企業にて、管理会計もしくは財務会計の経験を積むことをお勧めします。
SAPコンサルタントを目指せる職種②:労務管理、人事制度における企画経験を持つ人事職
人事も経理と同様に、一般的にはコンサルティングファームへの転職を目指すのが難しい職種ですが、人事業務の中でも、労務管理、人事制度において企画寄りの戦略業務経験を持っている場合には、SAPコンサルタントとしても活躍できる可能性があります。
SAP製品にはクラウドベースで人事業務に特化したSAP SuccessFactorsがあり、その製品を導入する際に、人事業務課題の整理・顕在化・解決策の提案において強みを発揮することができます。
なお、人事職の中でも、採用の経験が中心の場合は、SAPコンサルタントとしてはあまり評価されないため、人事職からSAPコンサルタントを目指すのであれば、人事制度や労務管理の経験を深めていき、より企画寄りの業務を経験することをお勧めします。
SAPコンサルタントを目指せる職種③:生産管理、購買調達
SAPには、販売管理モジュールのSD、在庫購買管理モジュールのMM、生産管理モジュールのPPがあり、事業会社において生産管理、購買調達の業務との親和性が高く、それらの業務を経験していることで、SAPコンサルタントとして活躍することが可能です。
特にこれらのモジュールは製造業に導入されることが多く、生産技術をはじめとする他の職種においても経験次第では挑戦することができます。
したがって、製造業の特定領域において高い専門性をお持ちであれば、SAPコンサルタントを目指してみるのもありでしょう。
ただし、機械設計をはじめ技術要素の経験が強い場合は、SAPコンサルタントとしてはあまり評価されないために、生産管理や生産技術、購買調達業務を経験してから目指していくことをお勧めします。
SAPコンサルタントを目指せる職種④:システム企画の経験を持つ社内SE
事業会社の社内SEも開発に携わったシステムによってはSAPコンサルタントを目指すことが可能です。
会計システムの開発を経験していれば、FI/COコンサルタントを目指すことができますし、在庫管理システムの開発を経験していれば、SD/MMコンサルタントを目指すことも可能です。
しかし、メンバーとして開発してきた経験だけでは弱く、システム企画にまで何らかの形で携わっていないと評価を得られないケースが多いです。
特に、ヘルプデスクやシステム運用保守などの経験だけですと、内定を得ることは厳しいため、社内SEであっても上流工程の経験は必須だと思ってください。
また、ベンダーコントロールもクライアント折衝の一つではありますが、こちらから課題をヒアリングして解決策を提案するわけでは無いため、コンサルティングファームへの転職においてはあまり評価されません。
社内SEからコンサルティングファームへの転職を狙うのであれば、自社の業務課題を解決するためのシステム企画にまで携わっている必要があります。
まとめ
事業会社からSAPコンサルタントへの転職は簡単ではありませんが、今回ご紹介した次のような経験をしていれば、内定を得ることができる可能性が十分にあります。
・管理会計、財務会計の経験を持つ経理職
・労務管理、人事制度における企画経験を持つ人事職
・生産管理、購買調達
・システム企画の経験を持つ社内SE
第二新卒クラスであれば、これらの経験をしていなくても内定を得ることができる可能性は十分にありますが、もしそうでない場合は、これらを参考にしてSAPコンサルタントへ転職するためにはどのような経験を身につけるべきかをしっかりと考えていきましょう。